「カビから生まれたくすり」とは

カビとは、細菌やウィルスの仲間で、糸のような姿をしている微生物の一種です。
カビに対して抱かれるイメージは、一般的に悪いものばかりでしょう。
実際に、スポロトリクム症やクリプトコッカス症のようにカビによって引き起こされる病気があります。
もっとも、5万種類を超えるカビの中には、人間にとって有益なカビも存在するのです。
たとえば、人の命を救うくすりになるカビがあります。

「カビから生まれたくすり」とは、人間にダメージを与えずに病原菌だけを退治するものです。
代表的なものとして、世界初の抗生物質であるペニシリンを挙げることができます。
1928年に、イギリスの細菌学者フレミングが、研究していたシャーレにカビが生え、その周りで菌の発育が妨げられていることに気づきました。
このとき、フレミングはカビが細菌を殺す物質を作り出していることを発見したのです。
このような偶然の発見から、研究が開始されたペニシリンは1940年代にくすりとして利用され始め、肺炎や敗血症、破傷風といった恐ろしい感染症の治療に驚くべき効果をあげました。
1945年にはフレミング、フローリー、チェーンの3名にノーベル医学・生理学賞が授与されています。